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IT業界レポート:「マレーシア デジタル エコノミーフォーラム」 取材レポート(前編)

2018/02/19

MALAYSIA DIGITAL ECONOMY FORUM

~ ビジネスも社会も、デジタル変革を ~ "Transforming Business & Society through Digitization "

MALAYSIA DIGITAL ECONOMY FORUM Opening screen

マレーシアデジタルエコノミーフォーラム #MyDEF2018

~ ビジネスも社会もデジタル変革を~

日時 : 2018年2月8日(木)

会場 : MITIタワー ペルダナホール

主催 : マレーシア国際貿易産業省(MITI),マレーシア·デジタルエコノミー公社(MDEC)

"マレーシアデジタルエコノミーフォーラム"とは

ALAYSIA DIGITAL ECONOMY FORUM Venue

マレーシア国際貿易産業省(通称:MITI)とマレーシア・デジタルエコノミー公社(通称:MDEC)が先導し、マレーシア中小企業のデジタル化を加速させようとしている。マレーシアデジタルエコノミーフォーラムは「ビジネスも社会も、デジタル変革を」をテーマとして掲げ、2018年2月8日、マレーシアはクアラルンプールにあるMITIタワー ペルダナホールで開催された。
当日は会場周辺の交通が渋滞し、会場の1600席がほぼ埋まるほどの参加者が訪れ、大きな3つのスクリーンが会場を映し出し、また会場の外周には40社以上のブースが設定され、すぐその場で商談を始めることが可能な状態であった。
パネリストを壇上に重要視点をおさえた5つのフォーラム 、ムスタパ・モハマドマレーシア国際貿易産業大臣によるプレゼンテーションや、中小企業輸出業者の中から優れた企業の表彰、マレーシアでは4回目を数えるサイバーセールの開催日が発表されるなど、エンターテイメント性あふれる構成となっており、 マレーシアの中小企業をデジタル武装で奮い立たせデジタル商流に乗ることで拡大させようとしている国家戦略の熱が感じられた。

オープニングセッションは華やかな顔ぶれ

LAYSIA DIGITAL ECONOMY FORUM Opening Session

「デジタルエコシステムビジネスへの変革へようこそ!」と題し、MDECのCEOであるダト・ヤスミン・マハムード氏がファシリテーターとして登壇。パネリストにはマレーシアの全国ICT協会であるPIKOMの代表ガネーシュ・クマール・バンガー氏、マレーシアのアマゾンと言われるオンラインマーケットプレイスのラザダ・マレーシアCEOクリストフ・レジェヌ氏、ウェブビジネス 成功事例であるアルバム作成のフォトブックマレーシアCEOレオン・ウー・ジョン氏にマレーシアのオンライン生鮮食品販売ジョコムCEOジョシュア・セウ氏と、豪華な顔ぶれが揃った。

時代が変わり、イーコマース需要が劇的に伸びている

どのような商売においてもイーコマースが重要である、と語るのはPIKOMのガネーシュ氏だ。イーコマースへ参入を始める時は誰もが同じく「あきらめないこと」が重要である。これまで店舗で水を売ってきたのであれば、それをウェブサイトで売ることは大した違いではないのだ。
商品である水を、店舗までどう運ぶか考えることと、ウェブサイトのその先にいる一人の顧客までどう運ぶかを考えることは「戦略を考える」という点においては同じなのだ。そしてもう1つ大切なことは、デジタル技術を駆使することである。オフラインではなくオンラインサービスを始めよ、イーコマース市場へ行けと誘導した。デジタル技術は全ての工程を簡素化させることができ、商品に加速をつけることが可能なのだ。

 

成功するかどうかはあなたの顧客が決める

オフラインで成功している中小企業はオンラインで成功しないわけがない。オフラインは人と人がコミュニケーションを取りながら成功する骨の折れる仕事だ。オンラインは人とのコミュニケーションという点で挑戦しやすい 、とラザダ・マレーシアのクリストフ氏は語った。オンラインビジネスで成功するためにクリストフ氏は「アントレプレナーであれ」「大志を抱け」「闘争心を燃やせ」と熱く論じた。これらの信念もさることながら、成功に不可欠な要素は 顧客である。顧客なしではビジネスは成功しないからだ。ではクリストフ氏はどのようにラザダを拡大成長させたのか?彼は、デジタル化への変革こそがイーコマースを簡単に成功させたと言及した。

 

オンラインビジネスを信じて、ウェブサイトを構築

プラットフォームを作り、フォトブックを東南アジアで成功させている若いCEO、レオン氏は2005年に事業を立ち上げる時、一番大変だったのはオンラインペイメントの信頼性だったという。自分のことを知らない顧客が思い出のアルバムを作るために、本当に自分にお金を払ってくれるのか。スマートフォン時代である昨今は、写真を簡単に高画質で撮影しSNSで知らせることができる。もう写真を現像することはない。しかし写真は一生のうちの一瞬を写し出すものであり、アルバムは時が経っても眺めていたいものである点に気づき、あえて紙媒体でアルバムを作成するというこの事業を始めたそうだ。
今では億万長者である彼の次のターゲットはカナダだという。

 

価値ある商品が存在すること、それが大事

マレーシアにて生鮮食品やその他の買い物が楽しめるプラットフォーム、JOCOMのCEOジョシュア氏は、自身のビジネスに不可欠なのは成功のためのセオリーではないと言った。SEO(サーチエンジンオプティマイゼーション)が何なのか知らなくても、自身の流通させる商品が価値ある商品であること、そこに商品が存在することこそが必要不可欠なのだ。JOCOMはマレーシアの伝統産業や農業を、最新技術と接続する手伝いをすることで、お互いがより快適になることを願っている。
今後はビジネスが急速に拡大している中国への輸出をメインターゲットとするとのことだ。

 

2018年はマレーシアのイーコマース・イヤーである

オンラインビジネスを始めよう。軌道に乗せよう。そして次のステップは、クロスボーダーへの挑戦である。現状のビジネス形態のまま国外への事業展開を考えるのは体力的に難しく、デジタル化なしにはクロスボーダーを推進することは難しい。本日はデジタル化のポイントについて話が聞けた、とダト氏は締めくくった。

 

MITI大臣登場!拍手が沸き起こる

ムスタパ・モハマドマレーシア国際貿易産業大臣 が到着すると、会場から拍手が沸き起こり、そのまま壇上にて挨拶が始まった。大臣はマレーシアが近い将来に向かってデジタル経済の強化 ・継続を示し、マレーシアがデジタル化を前進しているこれまでの経緯と今後の目標値について早速プレゼンテーションを始めた。

ALAYSIA DIGITAL ECONOMY FORUM MITI Minister Presentation

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マレーシアのデジタル化変革は1996年マルチメディア・スーパーコリドーの制定から始まる。2001年からの10年間は国内ブロードバンドや国内変革プランを提唱してきた。その変革を本格的なメインストリームに乗せたのは2012年以降といえる。国内IoTロードマップを掲げ、2016年に旧マルチメディア開発公社をマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)に刷新し、イーコマース戦略ロードマップを発表、イーコマースの新貿易地区構想をまとめたデジタル自由貿易区(DFTZ)をアリババの支援のもと発表した。

 
後編へつづく(要ログイン)